サルは、大きな脳と器用な手をもち、哺乳類の中でもっとも進化をとげた動物です。サルのなかまは、哺乳類の総数5500種のなかで約350種。
サルのなかまは、大きく4つに分類されます。
サルのなかまの分類と分布
現在、北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアにはサルがいません。
原猿類
キツネザル
メガネザル
原猿類は原始的な特徴をもったサルのなかまで、ベローシファカ、キツネザル、メガネザル、ロリスなどがいます。アフリカと東南アジアに分布。
類人猿
テナガザル
ゴリラ
類人猿は人にもっとも近く知能が発達したサルのなかまで、小型類人猿(テナガザル)と大型類人猿(オランウータン、チンパンジー、ゴリラ)がいます。東南アジアとアフリカに分布。
新世界ザル
オマキザル
ゴールデンライオン
新世界ザルは鼻のあなが外をむいているなかまで、オマキザル、クモザル、リスザル、ゴールデンライオンなどがいます。中央、南アメリカに分布。
旧世界ザル
マンドリル
マントヒヒ
旧世界ザルは鼻のあなが下をむいているなかまで、ニホンザル、マントヒヒ、マンドリル、キンシコウなどがいます。アフリカ、アジアに分布。
今回は、国内の動物園でも人気の高いニホンザルを紹介していきます。
ニホンザル
サル目(霊長目) オナガザル科 マカク属
学名 Macaca fuscata
英名 Japanese Macaque
- 体長 オス54~60cm メス47~55cm
- 尾長 7~12cm
- 体重 オス10~18kg メス8~16kg
ニホンザルは英語では『スノーモンキー』といいます。
ニホンザルの分布
ニホンザルは世界でもっとも北に生息するサルで、最北限は青森県の下北半島です。
日本には本州、四国、九州に分布するホンドザルと、鹿児島県屋久島に分布するヤクシマザルの2亜種がいます。
【生息地】森林
ニホンザルの特徴
ニホンザルは、ずんぐりむっくりの体格と尻尾が短いのが特徴で、寒い冬をしのぐのに適した体をしています。
オスはメスよりも体がやや大きく、体長はオス54~60㎝、メス47~55cm、体重はオス10~18kg、メス8~16kg。
体の大きさは地域によって違いがあり、暑い地域より寒い地域の方が体が大きくなります。
ヤクシマザルは、ホンドザルとくらべると小さくて、体毛や足が黒いのが特徴です。
毛
毛色は、背中が茶褐色から灰褐色で、お腹や四肢の内側は白っぽい色をしています。顔やお尻の部分には毛がほとんどありません。赤ちゃんは黄褐色です。
毛色は地域や季節によって違いがあります。寒い地域のサルは毛色が淡く、毛の長さは長めで密になります。
春になると、モコモコした冬毛がぬけて短い夏毛に生え変わります。秋になると寒い冬にそなえて、短い夏毛からモコモコした冬毛へと生え変わります。寒い地域のサルは冬毛の期間が9月から翌年4月までの8ケ月と長めです。
毛づくろい(グルーミング)は、ノミをとりのぞいているのではなく、サル同士の愛情や信頼を表現するコミュニケーションであり、心を和らげるリラックス効果があるそうです。
赤い顔と赤いお尻
サルのおしりはどうして赤いの?
おしりが赤いのは、なかまを見分けるためだよ。
トラやライオンなど他の哺乳類は色がよく見えていません。ニホンザルなどのサルのなかまは、人といっしょで赤や青や黄色などの色が見えています。
ニホンザルで顔やお尻が赤いのは特に大人のオスで、なかまを見分けるための目印になります。繁殖期になると、メスに気づいてもらうために、オスは顔やお尻を赤くして自分を目立たせようとします。赤くなるのは、性ホルモンによって血管が広がるからです。
子どものお尻はピンク色で、まだ赤くありません。
平づめ
サルのつめは、平づめです。ものがつかみやすいよう形になっています。親指と他の指が向かいあっていることや平づめのおかげで、物をもったり細かい作業ができます。
イヌ科やネコ科のつめは、かぎづめです。獲物をつかまえやすい形になっています。
ニホンザルの生態
生活
ニホンザルは昼行性で、10頭前後~100頭の群れをつくって行動します。行動圏は10〜20kmほどで、たびたび人がすむ場所まで山からおりてくることもあります。移動しながら食べ物を探します。
産まれたばかりの赤ちゃんは、産後3カ月くらいはお母さんの背中にのったり、お腹にだきつくようにして運ばれます。
食事
ニホンザルは雑食性です。春にはブナの葉、夏は昆虫、秋は柿などの果実を食べ、冬は木の枝をかじっています。あごの下には頬(ほお)ぶくろがあり、食べ物をたくわえることができます。
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