キリンのなかま
キリンのなかまには、首と足の長いキリンと首と足の短いオカピの2種がいます。
オカピは、キリンの祖先ににているので生きた化石といわれています。
アミメキリン
クジラ偶蹄目 キリン科 キリン属
絶滅危惧種
学名 Giraffa camelopardalis reticulata
英名 Reticulated Giraffe
- 体長 380~480cm
- 体重 500~1900kg
- 分布 アフリカ(エチオピア南部~ケニア北東部、ソマリア南西部)
- 生息地 サバンナ、草原、開けた森林
- 食べ物 アカシアの葉、小枝、草、果実
- 寿命 25年
日本全国の動物園で約160頭ほど飼育されています。
別名『ソマリアキリン』と呼ばれています。
キリンの分布
アミメキリンは、アフリカ(エチオピア南部~ケニア北東部)に分布しています。
【生息地】サバンナ、草原、開けた森林
アミメキリンの特徴
陸上で生活する動物の中でもっとも背の高い動物です。頭までの高さが580cm、首の長さだけでもなんと200cm以上もあります。
足には蹄(ひづめ)があり、指は中指と薬指の2本です。
歩くときは、同じ側の前足と後ろ足を踏み出します。これを『側対歩(そくたいほ)』と言います。走るときは、前足と後ろ足を交互に出します。
アミメキリンは、模様が網の目のように見えるのが特徴です。草木が多いサバンナでは、ライオンやヒョウなどの肉食動物から身を守る保護色となります。
ライオンは色を識別する能力が低く、世界が白黒に見えているそうです。
ライオンが見ている世界
角
キリンの角は前(おでこ)に1本、上に飛び出たのが2本、後にも2本と、全部で5本あります。角は皮ふと毛でおおわれていて『オシコーン』と呼ばれています。
前(おでこ)にある角は、メスにくらべてオスの方がゴツゴツしています。
キリンの角は何のためにあるのでしょう?オス同士で戦うときに武器として使用する役割が考えられていましたが、キリンは角ではなく首をぶつけ合いながら戦う「ネッキング」をするので、角は戦いには役にたっていません。
『元々は大きい角だったのが、進化の過程で退化しているのではないか』という説があります。
赤ちゃんキリンの角
生まれたての赤ちゃんの角は、まだやわらかく、左右の角が折りたたまれています。
生後3カ月にもなると角が立ち、立派な角になります。
長い舌
舌の長さは40㎝で、色は青紫色。長い舌を木の枝にからめて、口もとに運び、葉をしごきとって食べます。
キリンの舌が青紫色なのは、強い日差しから舌を守るためにメラニンが増加しているからです。
目が顔の横にある
草食動物のキリンの目は顔の横についてるので、横を向かなくても後ろまで見ることができます。そのため敵が近づいて来てもすぐに気づくことができます。
またライオンなどの肉食動物は、目は顔の前にあります。獲物をすばやく捕らえるために相手との距離感をとりやすくなっています。
まつげが長い
砂漠の乾燥から目を守ったり、または太陽からの紫外線から目を守るためにまつげが長くなっています。
長い尻尾
尻尾の長さは75~100cm。
尻尾の先にある黒いふさ毛を使ってハエ(サシバエ)を追っぱらったり、お尻の汚れを落としたりします。
高血圧
キリンは首が長く背が高い動物です。高い位置にある脳へ心臓から血液を送るには、強い心臓と高い血圧が必要になります。
キリンの後頭部には『ワンダーネット』という網目状の毛細血管があり、頭も大きく動かすときに血圧が急激に変化するのを防ぐ役割をします。また、首の血管には、血液が逆流するのを防ぐ弁があります。
血圧は動物の中でもっとも高い260㎜HG。これはヒトの2倍以上の数値になります。走ると心臓に負担がかかるので長い時間は走れません。
キリンの首はどうして長いの?
キリンの首は200cm以上。首は人と同じ7つの骨(頚椎)、1つ1つの骨が大きいの特徴です。
キリンが首を動かすときには1番目の胸の骨(胸椎)もいっしょに動くことから『1番目の胸の骨が8番目の首の骨の役割をしている』と言われています。
現在でも首が長くなった理由について多く議論されていますが、いまだに結論は出ていないようです。
【説1】高い木の葉を食べるために首が伸びた
他の動物も届かない高い木の葉をパクパク食べたり、あの大きな目で遠くの方まで見渡すために首がどんどん伸びて進化したという理由が有力です。
高い所にはキリンの敵となる動物もいないので、安心してエサが食べれます。
【説2】立ったまま水を飲むため首が伸びた
首が伸びたもう一つの理由として、敵から身を守るため立ったまま『水が飲みたかった!』のではと言われています。
キリンは長い前足を大きく開いて、首を曲げることで水を上手に飲むことができます。
野生のキリンは、いつ敵が襲ってくるかわからないので、休む時も立ったままです。しかし敵のいない安全な場所では、草の上に座り首を丸めて休みます。
アミメキリンの生態
生活
アミメキリンは、1頭のオスと2〜3頭のメス、その子ども達からなる10頭前後の群れで生活しています。
群れの中に特定のリーダーはいません。
キリンの足の速さは時速55km!!意外と早いですね。
ちなみにウマは時速77km、ライオンは時速64km、アフリカゾウは時速40km!
ネッキングをする
オスのキリンがメスとの交尾をめぐって、長い首をまじわせながらケンカをすることをネッキングと呼ばれています。
首の骨が折れるほど激しい戦いで、どちらかが逃げ出せば終了。
食事
青紫色をした長い舌を使って、高い木の葉をむしって食べます。好んで食べるのはアカシアの葉や小枝。時には草、果実を食べます。
鼻の臭覚がするどいので、好きな植物はニオイで探していると言われています。
食事の時間は、主に薄明薄暮時(早朝と夕方)です。昼間は、食べたものを『反すう』して消化しています。キリンの胃は4つに分かれていると言われています。
食べて胃に入った植物は、もう一度口の中にもどして噛みなおします。これは植物を効率よく消化すためで『はんすう』といいます。
- 食べた植物は、まず①の胃に入っていきます
- 植物は①と②の胃を行き来しながら、バクテリアの力をかりて消化
- 消化しきれなかった植物は、②から口の中にもどし噛みなおします
- 植物が細かくなったところで③→④の胃へと運ばれます
- 胃液による消化は④の胃でおこないます
体が大きいために大量の植物が必要で、1日のうち18時間は木の葉を食べています。睡眠時間は1~2時間ほど。ゆっくり寝てる時間はなさそうですね。
オスは高いところにある木の葉を食べますが、メスは低いところにある木の葉を食べます。木の葉以外にも果実や花を食べることもあります。
繁殖
キリンは、一夫多妻です。メスは、縄張りの中で一番強いオスと交尾をして、妊娠期間16カ月で1頭の子どもを出産します。
キリンは立ったままの状態で出産するため、生まれるキリンの赤ちゃんは、2mの高さから地面に産み落とされてしまうそうです。
生まれたばかりの赤ちゃんは体長が1.7~2.0m、体重が60~65kgあります。2本の角は内側に折りたたまれた状態です。
草食動物であるキリンは、ライオンなどの肉食動物から身を守るために生まれてから40分で立ち上がり、すぐに授乳を始めます。それでも肉食動物から逃れて生き残る確率は50%。
オス・メスともに性成熟は4年です。
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